調査報告1:自分らしい暮らしを続けることが元気の秘訣~広めの高齢者住宅での自立生活が健康を守る

公開日:2025年11月19日|更新日:2025年11月20日

元気なうちに自分にぴったり合った住まいに移ることで、健康寿命が延びることをご存知でしょうか?高齢者住宅協会が令和7年3月に実施した最新調査で、興味深い事実が明らかになりました。広めの居室で、自分のペースで食事づくりや趣味活動、外出を楽しめる高齢者住宅が、入居者の健康と生活の満足度を大きく高めているというのです。令和7年11月18日に発表された調査報告から見えてきた「元気で充実した老後」の秘訣についてお話しします。

目次

広さが健康を作る~40㎡以上の居室の威力

高齢者住宅協会と千葉大学が共同で行った調査では、約1,400人の高齢者に対して、住まいの広さと生活の様子について詳しく調べました。その結果、注目すべき事実が浮かび上がったのです。

住室面積が40㎡(畳24畳相当)以上の広めの居室に住む方々は、調理、外出、趣味活動といった自分主導の活動をされている割合が、より狭い居室の方々よりも高いことがわかったのです。つまり、「広さ」があることで、自然と活動的な生活につながるということです。

なぜでしょうか。理由は単純明快です。40㎡あれば、洗濯機をはじめ衣類の収納スペース、そしてコンロが2口以上あるキッチンを備えることができます。これらの設備があると、何が起こるか。毎日の食事を自分で作る生活が、自然と続けられるようになるのです。

自分で作る食事が、毎日の活力に

調査で特に印象的だったのが、「食べることの力」です。広めの居室に住む方々のうち、多くの方が、たとえ共用食堂があっても、すべての食事を任せてしまうのではなく、部分的でも自分で調理をしていることがわかりました。

自分で食材を選んで、調理をして、食べる。この一連の行動は、単なる食事ではなく、自分の人生をコントロールする実感を生み出すのです。さらに調査からは、自分で食事を準備する人は、その食材を買うために外出することも把握されました。

外に出て、季節の変化を感じ、人と会い、新しい発見をする。こうした外出という行動が、実は介護予防につながる可能性があるのです。スポーツ実施頻度からの推定では、活動的な人は6年間で1人当たり約70万円の介護費用の抑制が見込まれるという驚きの試算も報告されています。

心身ともに安心できる環境

調査対象の方々に、以前の住まいと今の住まいを比べてどう感じるかを聞いたところ、特に「防犯上の安心感が得られた」「寒さが解消された」「転倒防止設備が整っていて安心」という声が多く寄せられました。

これらは、単なる「便利さ」ではなく、心身の安定につながる重要な要素です。安心できる環境で暮らすことで、心に余裕が生まれ、その結果、より主体的で活動的な生活が自然と広がっていくのです。

一方で、キッチンの使いやすさや収納の量についてはまだ改善の余地があるという声も聞かれました。今後の高齢者住宅の設計では、こうした点がさらに改良されていくことが期待されています。

住み替えが人生を変える

調査では、自立中心型の高齢者住宅事業者のうち38%が、入居者が前に住んでいた家の活用について相談窓口を紹介していることがわかりました。つまり、多くの事業者が、単に「新しい住まいの提供」だけでなく、「前の住まいの有効活用」まで一緒に考えてくれているということです。

これは非常に大切なポイントです。人生の大きな決断である住み替えを、相談しながら進めることができる環境があれば、心の負担も大きく減ります。また、自分が長く住んできた実家が、別の誰かの人生の舞台になることで、資産が生きた形で循環していくのです。

これからの暮らしへ向けて

高齢者住宅協会の調査が示す結論は、とてもシンプルです。元気なうちに、自分の活動を制限しない環境に住み替えることで、その後の人生がより充実したものになる可能性が高まるということです。

40㎡というのは、決して大きな面積ではありません。しかし、その「適切な広さ」に、充実したキッチンと収納、そして地域との交流スペースが加わることで、一人ひとりが「自分らしく」生きることができる環境が実現するのです。

今、親の介護のことを考えたり、自分たちの老後について家族で話し合う時期が来ているご家庭も多いのではないでしょうか。その際に大切なのは、「どこでお世話になるか」ではなく、「どこで自分らしく活動し続けるか」という視点かもしれません。

元気で充実した人生を続けるための住まい。それは、決して遠い未来の話ではなく、今からでも考え、選択できるものなのです。あなたの「これからの暮らし」について、一度家族と一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

資料:一般社団法人高齢者住宅協会プレスリリース「40㎡住宅が住宅ストック循環の起点に!―自立型高齢者住宅の実態調査が「健康寿命延伸と住宅ストック活用の好循環」を示唆―」

関連リンク:PR TIMES「40m2住宅が住宅ストック循環の起点に」

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公開日:2025年11月19日|更新日:2025年11月20日

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